試験/葉leaf
 

産まれたときにきっと
何かの試験に落第した僕は
その試験に合格していたら
そもそも存在することすらなかったはずだ
今日も僕は生きていくために
右手に落第し
脳髄に落第し
血液に落第する

自然界には試験の力が満ちている
ブナの林に注がれる試験の視線
大海に漂う試験の基準
山から吹く風に抗う点数の群れ
そうして万象は試されて
そうして万象は試していく

神秘というものは
きっともっとも難解な試験だから
「神秘が試験であるか」
という解けない問いでもある
そのような神秘から
こっそり正解を盗み去るのが
僕の生涯の課題だ

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