こころのふるさと/まきしむ
差し込んできた
光の中でわたしは美術館のことを思った
美術館は清潔で澄んでいた
青々と茂る樹木
それらに囲まれて
お昼にオムレツを食べた
依然として苦役は続いていた
求めるものも無くなって行った
後には平らな轍だけが残った
依然としてわたしは何もしなかった
ただ淡々と先人の残した通り道が続いていた
階段を登り賽銭箱の前で手を合わせわたしは祈った
戦いの火がおこらないように
このまま静かな水面がどこまでも続いているように
祈ったあとすぐに帰った
蛙が横切った
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