こころのふるさと/まきしむ
それはなんだろうか。
それがそうして、わたしは空腹であった
ものを食べるたびにからだは軽くなった
こめかみのあたりから小さな金の糸が入ってきて、部屋の中に『亜麻色の髪の乙女』が静かに広がっていった
次にわたしは自由だった
平原におこったぶらんこにのり風を浴び、眼前を牛が横切った
手を切る度に体は重くなった
あたまの上に茨が置かれてゆく
街を歩いている間一人だった
電柱の脇に植木を置いていった
わたしは何者でもなかった
依然としていのちは続いていた
図書館の水飲み場のようなところに
わたしはよこたわり静かに息をしている
12時くらいで二階の窓から光が斜めに差し
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