夜は生きている/みずうみ鳶
 
星がね
またたいてるんだ
すごくたくさん

月はななめにまっぷたつに切られ
とろりと卵のとうめい膜を溢れさせていた

まるで夜空は星の呼吸と
その何万光年離れた遠いしゃべり声のにぎやかさに満ちて

星は生きているんだ
夜はたしかに生きている
と雪を抱いた山がぼやんとした湿気(しっき)
夜に抱かれた赤子の匂い立つケハイを纏って
横たわっている上では
震えるように尖った光跡が
忍び足をたてて
のぞきみた
夜のカーニバルみたいに
かがやいていた


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