至る処に煙の存在/煙と工場
たばこをぱかぱか吸っていると
まるでえんとつみたいだね
といわれました
(火葬所の煙
灰を生産し
生命を散らす)
ちかくの山には
こうじょうがあったことを
ぼくに伝えたかのじょは
きっと
つかえないやつと
いいたかったのでしょう
(大気へと解けた煙は
凝縮し復讐することが
度々あると聞いた)
マッチうりの少女が
火のむこうに
きぼうをみたように
ぼくはけむりのむこうに
ぜつぼうをみようと
おもうのです
(書き溜めたノートを
薪にして日々生活
記憶も思い出も全て
煙で供養する)
たばこをぱかぱか吸って
そろそろ眠くなったので
たばこの先をはいざらへ
ごしごしすりつけたら
あのかのじょも
ゆっくりと
ゆっくりと
きえてしまいました
(煙は何時しか私を取り巻き
徐々に視野を遮断する)
ゆっくりと
ゆっくりと
ゆっくりと
けむりといっしょに
きえていきました
ぼくもまた
ゆっくりと……
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