僕の親友/yamadahifumi
 
の挙句、友達のアパートに連れて帰ってもらう、そんなことなのか。それがお前の哲学の答えなのか?」
 ・・・だが、ツダは聞いていなかった。彼は目をつむり、その意識はまた闇の底に戻っていた。・・・やれやれ、と僕は呟いた。こいつは多分、その言葉とは逆に、そんなに簡単に死にはしないな・・・と僕は思った。だが、もし、そうだとして、そんな風にして死なずに生き続けるこいつの人生とは一体、なんだろう・・・?。
 だが、僕はそんな抽象的な思考を続ける事はできなかった。・・・大体、そんな小難しい事を考えるのは僕の得意とする事ではない。それをするのは、こいつーーーツダの仕事だ。
 やれやれ、と僕はツダに薄い上掛けをかけながら呟いた。僕もシャワーに入って、寝なければ。僕は平凡人だ。月曜になったら、月給もらう為に仕事へいそいそと出かける平凡人なんだ。僕も酔いを覚ましてから、寝なければ。
 ・・・翌日、目覚めると、ツダはソファーの上から消えていた。そして、その上には「昨日は悪かったな」という小さなメモと共に、タクシー代と書かれた紙切れもあった。そしてその紙切れの下には、五千円札が一枚置いてあった。

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