がり かりり/佐々宝砂
血が出るまで掻きむしるかさかさの肌は
乾燥した高地のミイラより無様だ
ミイラになっても美女は美女
みずみずしくてもブスはブス
こたつに半身潜り込んで
少しずつ消滅してゆくなら
どんなにかいいのに
と思ってみる
強く掻くだけで血が滲むこの肉体は
ミイラに較べたらかなりナマモノだが
ナマモノだということは
つまり賞味期限があるということで
鬱陶しいから
ナマモノ商売さらりとやめてしまいたい
人間商売なんか生ぬるい
高村智恵子の二の舞はごめんだね
さあ死に化粧をしよう
短い爪にきんきらの付け爪をつけて
ショッキングピンクで月を描こう
あばらが浮き出て
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