挿し絵/あおば
 
         130715


詩集の挿絵とは
絵画にどんな照明を与えるか
ということに似ていると思いますと
若い作者が言う
そんなものかなと初老の男は半ば狼狽えながらも
うなずかざるを得ないのだった
人生経験も年の差も関係のない話題で賑わう若草のカーペット
挿絵を一面に敷き詰めたような緑の公園脇にはペットボトルの水を足下に注いではびしゃびしゃ足踏みをして真新しい黄色の雨靴の感触を楽しんでいるおかあさんいつ雨が降るの声は
雨乞いの言葉も知らないくせに一心に足を踏みならし踊りの所作はもう身につけているのだ
青い小さな実を付けた竜の髭
植え込みの中から虹色のとかげがひょ
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