マフィン/
草野春心
マフィンはいらないよ
くたびれた風のように
もうここを出ていくから
皺のとれぬシャツのために
ハーモニカを吹いてくれよ
冷めたコーヒーをすするように
とうのむかしに奏で終えてしまった
もうひとつの音楽のために
おまえの焼いてくれた
あのマフィンはもういらないよ
影のように消えてしまうから
夢のように戻ってこないから
お別れを言ってくれよ
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