蘇生/村上 和
近くで見ると一錠の粒が大きかった
オセロの石ほどある
私はなぜか冷静だった
私のいない世界を私は見れないのかと
そんなことをただぼんやりと思っていた
瓶から薬を半分ほど机上に空けて
その一粒にすっと手を伸ばし
ほんの一瞬躊躇ったのち
ひょいと口の中に放った
味はない
普通の錠剤だ
ただ少し大き過ぎて
口の中は不快だった
ぼりぼりと噛み砕いてみる
沢山飲む必要があるとのことだったので
続けざまに二個三個と口の中に放った
ぼりぼりと噛み砕く
死ぬ気配はない
しばらく続けても一向に変化はなかった
ひととき
少し眠たくなったような気がしたが
気
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)