先輩との話/yamadahifumi
 
刻してるんだぜ・・・ひどい話だろ?・・・。こんな美しく素晴らしい女性を三十分も待たせるなんて、俺には考えられんな・・・。じゃあな、ミネギシ。また、大学で会おうぜ」
 そう言って、先輩はその女の手を取って、この真昼間の都会の中、どこかに消えてしまった。僕は一人取り残されて、ため息をつきながら、思ったものだ・・・。やっぱり、先輩には叶わないな、と。
 

 ・・・僕も大人になって、色々な事が分かるようになった。先輩の事、彼の事を羨ましいと思っていた自分、そして、そういう自分も、先輩もまた、おそらく間違っていた事も・・・・。・・・先輩は、そうやって、ナンパした女と消えた翌日に、僕と大学で会った時
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