先輩との話/yamadahifumi
もかもがすっかり変わってしまった、と僕は思った。
そして、僕は夜更けの台所で、一人チャーハンを食べ、冷蔵庫から取り出してきた残りのワインを飲んだ。・・・ワインは渋くなっていて、チャーハンは塩辛すぎた。・・・これが底辺だ、と僕は、ふと声に出してみた。ああ、せめて、夜明けだけでも来ていればなあ・・・そんなとめどない事も、僕は、食いながら、口に出してみた。そして、その言葉の全部が嘘だった。僕は、その事を知っていた。
先輩・・・・・と、僕は深夜の虚空のなかで、その言葉がこだまするようなイメージで、先輩に向かって呼びかけた。それは、心の声だ。
「先輩・・・・あなたはやりすぎたんですよ。報いを受けてください。報いを・・・・・」
しかし、とその後、僕は考えた。・・・何も、報いを受けるのは、先輩に限った事ではない。この罪を背負った全人類、だまされた奴もだました奴も、一様に報いを受けるに違いない・・・・何故だか、僕は、そんな事を考えた。・・・そして、食べ終わった食器と、グラスを流し台に放り込んだ。
さて、明日のバイトに備えて、もう寝るか。
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