先輩との話/yamadahifumi
 
、フリーターに落ち着いた。それから、二十五から音楽を始めた。その事を誰も咎めも褒めしなかったし、その事を知っている人間は僕意外にはほとんど一人もいないのだが、僕は、それを淡々とやりつづけている。それはまだ形にはなっていない。だが、やがて『形』になるだろう。・・・才能の有無に関わらず。
 先輩の事について、僕は何にも知らなかった。・・・ただ、あの特異な人物の事を、ふと思い出す事はこれまでにもたびたびあった。そして、そんなときにはいつも、先輩は、今もあの調子のまま、上手くやっているに違いない・・・と思うのだった。先輩はきっと、死ぬまであの調子で、朗らかに生き続けるにちがいない。
 その先輩から、昨
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