さよならのこと/はるな
 
てくる。夜のあれ。
うそつきといわれても、あばずれといわれても、ひとでなしといわれても、だいじょうぶ。でも、あきらめたら、星はふらない。あきらめなくてもふらないかもしれない、星は、それを食べるとすぐにくちのうらに生えてくる。でもみえない。無意味がよかった。泣いたりして、無意味だとなおよかった。あやまる、あなたには、わかってほしかった。あなたっていうのは、全員のこと。すべてのこと。いままでみたり、さわったり、味わったり、わかれたりした、ぜんぶのこと。ごめんなさい、あなたにわかってもらいたくて、はしったり、さわったり、あじわったりした。でも鏡だったかもしれない。

なにもかも、きみにしたかった。おぼえていることばすべてで飾って、きみがどんなに傷つくとしても、かまわず、きみにあげたかった。うれしいことも、ひどいことも、ぜんぶきみにしたかった。腕があるから、指があるから、あいたかった。名前をおぼえたり、わすれたり、思いだしたり、そういうことの、ぜんぶを、ぜんぶとしたかった。


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