匂やかに/
凍湖(とおこ)
なつだから
かぜやみずがぬるくて
わたしもぬるい陽炎になる。
髪の毛がもつれ
からだとからだが近く
凍てついた冬よりずっと
いろんな匂いが生き生きと
なまなましく
あなたのうでは小麦色
汗をかいて
輪郭線がひかって白い。
あぁ、だから駈け足で地面を叩いていった
晴れ雨の虹くらい
たしかな実感として
いのちが匂いたつ。
うなじのシャンプーみたいに。
戻る
編
削
Point
(1)