虫/沢村 俊輔
 

夕暮れどきの町なみは
どこかゆるんでいて
おだやかな顔ばかりが
すれちがってゆく

街灯が点灯し
一番星が顔を見せる頃
どこを歩いているのだろう

灯りの点いた家を探して
通り過ぎる時間のふちで
家族を探しているものは
ふらふらと足どりが定まらない

街灯に集まるこがね虫だった
なにやら灯りに向かって
体当りで うそぶいている
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