民次郎 (仮)/民次郎
ずっと昔もこんな真っ暗を祖先も見たのかね
覚えてる?遺伝子
車場で失って過ぎ去って忘れちまって
車の埃っぽいシートを倒す
一時もすれば尻尾の汚いリスが松や桜を渡る
警戒心が強いのに好奇心はあるのだ
喧嘩を見ると怖くて止める 喧嘩が好き
言葉にしたかった私を馬鹿な潮風が凪いでる
虚実に慄いた私には波が答えのようだ
私は慈悲のある選ばれた者です この門をくぐる人に
馬鹿に明るい倦怠な昼よ 暗雲が来て雷雨をくれ
なんかいつからかバランスわすれちまってた
誰も愛してない 愛す必要もないヒューマニスト
偏執狂の波を食らう
灰皿に落ちたヤモリ 嵐で居間に来たフナ虫
馬鹿な奇跡など起こるはずもなく 彼は眠ったままである
背伸びに車を降りると看板がある
半世紀前に覚死したのだ
なんとも世界は
よくよく流流とその姿を続けている
暮れの曇り空から
睨んだ希望が枝を透かして目に入る
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