惚れている/朝焼彩茜色
髪の長い 古き艶を残した黒髪のお前
その素肌を包み しなやかな 黒髪もくびれる
男には 備えられない 弾力に水が弾く 潤い
控えめな 鈴蘭の香り
女という生き物の魔の魅力に跪く 甲にあてる 唇
髪の長い お人形のような瞳に 小さな肩のお前
俺は 高嶺に登る自信を崩されるほど
お前に 惚れていた
何も考えずに鈴蘭の音を その魂を溶いた黒髪に宿る生き物を
抱きたい
何も考えずにお前の心ここにあらずとも お前を
抱きたい
お前しか見えない瞳に
お前しか見ない生き様に 溺れようと救われなかろうと 死んでしまおうと
お前だけ見ていたい 他に触れる指先などいらない
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