都市へ拝啓/煙と工場
世界市民への憧れは
画一化へと転換した
感情を押し殺す為に
人は笑顔をパッケージにして売る
あざやかな青空も
美しき木々も
目を見張るような絶景も
貨幣で買える時代だ
切り取られた視野は
同じ記号として現前化する
プログラミングされた機械達は
きっと僕を嘲笑う
歪なものも
孤独なものも
空虚なものも
居場所がないまま
放浪している
脳のなかで
ねじがからんころん
音響機材で増幅させれば
鐘の声が遠くから遠くから
頭痛は観念的なものであるから
薬を飲んでも抑えることはできない
ねじがあるならばドライバーも必要だ
何もかもが乖離し分解し続ける
物質が分子に原子に粒子に等々
ロシアのマトリョーシカのように
僕の内部また玉葱の如く
断片をかき集めても
断片しか無いのだから
僕にはもっと糊が必要なのだ
全ての機械が活動を停止し
穏かな笑みを浮かべるとき
僕も幸せになれるのだろうか
笑みを浮かべて君の前にいることが
できるのだろうか
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