遠い声遠い部屋/梅昆布茶
かないバスに 良い旅だ
銀色の尖がった月は 少年の柔らかなこころを刺す 旅はいまもつづく 痛みの果てまで
存在理由ギリギリまで生きてゆくんだもの 野の花が微笑んでいるさ 春の宵だ
弦の切れたギターをいつも抱えていた まるで赤児をだくように そして歌う
子守唄のように 或いは手の届かない初恋のように まるで夢のように
旅立つ日はいつも雨 もう少年ではいられないが それでも言葉を探しにゆく
粉々になった夢を つなぎ合わせて たった一人で 遠い旅路をぶらぶらと
少年のままに 幼いままに ぶらぶらとね
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