遠い声遠い部屋/梅昆布茶
 
かないバスに 良い旅だ
銀色の尖がった月は 少年の柔らかなこころを刺す 旅はいまもつづく 痛みの果てまで

存在理由ギリギリまで生きてゆくんだもの 野の花が微笑んでいるさ 春の宵だ
弦の切れたギターをいつも抱えていた まるで赤児をだくように そして歌う

子守唄のように 或いは手の届かない初恋のように まるで夢のように
旅立つ日はいつも雨 もう少年ではいられないが それでも言葉を探しにゆく

粉々になった夢を つなぎ合わせて たった一人で 遠い旅路をぶらぶらと
少年のままに 幼いままに ぶらぶらとね




戻る   Point(6)