遠い声遠い部屋/梅昆布茶
不幸な少年はバスに乗る 何処へも着かないバスに 最果ての街に行きたかった
月の無い夜に生まれた いつも夜を宿している 言葉を持たない
銀河の端っこから滑り落ちてきた魂だもの 空を見上げる
この世にとってはお荷物な存在だ くるりんと回転して落ちてきた
夕暮れの気配に世界を見渡す 何処へも行かないバスに乗って
何処へ行こうと言うのか バスは夜の高速道路をひた走る 少年は口笛を吹く
まったく行き先の違うバスの窓から 君が手を振るのが見えたんだ だから
僕はこの世界をあきらめて 次の扉を探し始める ねえ素敵なことだろう
不幸な少年はバスに乗る いつまでもターミナルに着かな
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