草刈り考/ただのみきや
平和な殺戮は淡々と行われる
青臭い血の匂い 寡黙な絶叫
ゆるやかな風は心地良く運ぶ
住居を追われ逃げ惑う虫たち
ピンポイントで狙いを定める
鳥たちは戦闘ヘリ
うららかな陽射しの下
積み上げられてゆく死体
あっという間に干からびて
ああ 草たちの血の匂いは
人のそれよりもずっと良い
草たちの死 それは
人の死よりもずっと
草は刈られても
すぐに生え出で茂るのだ
だが人はそうはいかない
死んだら それきり
起き上ることは二度とない
なのに 殺戮は続いている
硝煙と血の匂い 爆音と絶叫
情報の風は地の果てからも運ぶ
昨日も今日も明日も明後日も
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