朝になったら蝶になる/灰泥軽茶
 
蝶の羽が一枚道端に落ちている

綺麗なもようを残したまま

朝の光りを浴びて

薄暗い夜になったら眠る

ぱっと目をあけたらここはどこだろう

いつの時代なのだろうかと

宙を眺め

ゆっくりと目を閉じればまたもとの世界

そんなおんなじことの繰り返しが途切れるとき

わたしは綺麗なもようを残して

去ることができればなと

一枚の羽に手を伸ばすと

鮮やかな燐分が舞い

蝶の記憶が形どり花緑となって

私は包みこむ
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