ジャックされた夏の断片/りゅうのあくび
きっと夏の晴れた日の朝には
水を求めて何処かの
乾いた草原で
遊牧民族が
馬や山羊たちとともに
次の場所へと
引越する支度をしている
地球の反対側とつながる
国境の意味が
なくなりかけている時代に
或ることに
びっくりして
警視庁のサイバー犯罪対策課に
電話をする
ウィルスアプリには
或るメモが残されていた
メモへようこそ
というクレジットが出てきた
あなたはいったい誰なのだろうかと
録音中です
というステータスメッセージが
自分宛てに届く
気付けば携帯電話が何者かに
ジャックされている
その謎の
ウィルスアプリを
アンインストールす
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