いなご/
草野春心
草の皿に
いっぴきのいなごがとまっている
ぼくはいつも色んなことを
すぐに駄目にしてしまう
砂団子のように丸く脆く
君への思いを胸のなかに固めて
ふかくしずんでゆく夕暮れの空
この手につかめそうなほどくっきりとした風
車道を走り過ぎるスクーターの影に
いなごは溶けていなくなった
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