こがね ふちどり/木立 悟
 
も己も空も知らぬ
ただひとつの曇がすぎる


埋もれた十字
咽の渇き
土を撒く足
冬を彫る径


街の傍にころがる冠
冬の原を映す冠
手わたすたびにこぼれる蒼
かしずくものらを照らしている


銀と鉛と灰の標が
別の方を指して倒れる
霧はまるくやわらかく
背しか見えない生きものに添う


たくらみをふちどり
無に至るまで明るく
夜の径をつかむ手のひら
曇間をすぎる声を聴く






























戻る   Point(7)