汚れたepic/
信天翁
独り暮らしの侘しさを
はぐらかそうと
つむじまがりの北風のなか
杖と携帯をよすがとして
そぞろ歩きにでた
三叉路にさしかかったとき 突然
子犬を連れた見知らぬおかみさんに
「散歩ですか」と声を掛けられた
それなのに
おらは「えぇ」と愛想もなく返答してしまった
「行ってらっしゃい」
老耄にはまねのできない
その気やすい声かけに
おらは温かみにしんみり浸かって帰宅した
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