近所の田んぼ/まきしむ
境内にはいると、なんだかむにゅむにゅいってる変な具合の土をずっとふみふみしていた。
それに飽きると木造の社、その周りに重なる針葉樹をちらりと見やり、「う〜ん。歴史を感じるナア。」とつぶやき田んぼ道へ続く階段を降りていった。
おとといまで、ひどい雨が続いていたせいか厚い霧がぼんやりと立ち込めていて、息を吸うとひんやりして気持ちが良い。
「これがマイナスイオンか」
呟くとわたしは畦道を通って田んぼの中央まで行きリュックから道具を取り出して、散髪をはじめた。
「みんな、死ね。殺す」
言いながら自分の髪をばっさばっさ切ってゆくとすぐに調子がついて、いい感じに辺りで鳥も鳴いている。
「みんな、死ね。殺す。」
どんどん楽しくなってきて、白鳥やたぬき、蛙など種種様々な生き物が集まってきて、各々が自分の言語で歌い始めた。
「みんな、死ね。殺す」
楽しくて仕方がないナア、毎日がこんな風だったらいいのに、と思うと私の目から涙がポロポロとこぼれてきて、気がつくと辺りには誰もいなくなっていた。
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