地獄の闇ナーベン!! の巻/ホロウ・シカエルボク
 
かった。彼をそんな思いにした、彼自身が作りだした怪物の痕跡を。

そして、冷蔵庫から三矢サイダーを出し、氷を入れたグラスに注ぎ、うがいをするように口に含みながら少しずつ飲んだ。原因が良く判らない舌と唇の痺れはまだ消えていなかった。早く消し去ってしまいたかった。


「考えてみれば、酢のラーメンもトマトのラーメンも、みそ味じゃないですよね…勿論痺れはまだ消えていません。」
と、O氏は自嘲的に言った。
「せめて、夕食には、きちんとしたものを食べるつもりです。」
そう言って哀しく笑う。窓の外では強く降り始めた雨の音が辺りの屋根を叩いている音だけが静かにこだましていた。


【了】



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