海の六月/佐東
 
しぶきをかけぬける
ふくらはぎの
まあるい
着水点

夏の鼓膜に
そっと
折りかさなる
六月の
ふやけた骨格を
並べかえる

君は
雨だれに
擬態したまま
あじさいの葉脈を巡る
うすむらさきの
路地裏で
見えない雨が 
とおりすぎるのを
瞼の裏がわで
まつ


(すって (すって

  ((はいて

(すって


こきゅう

ととのえて
ほら
点在する
水の匂いを辿る
ゆび先の路線


 ず っと、
 まってても、
 水平線、
 なんて、
 到着しないこと、

 わかってる。


六月の
こきゅうに
やわらかく象られたまま
君は
遠い渚の
よびごえを
きく







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