夏音〜KANON〜/Rin.
血潮、とノートに書いて貝殻のなかにたしかに海があったと
隣席のヘッドフォンから砂の音が聴き分けられる夏の江ノ電
ふたりで海を見たのは一度 いつまで、と互いに決められないままいたね
八月が白く塗られてまなうらに薄くさびしく光を残す
私が雨を描くがごとくあのひとは海でせかいをぼかして歌う
あの遮断機まで走ろうか ゆうやけの色はずるいとおもう放課後
許すことってなんだろね雨の朝あいたいと感じた3秒間
「あのころ」に戻ってみたいという君の「あのころ」にない季節をわたる
ふいと掬う浜辺の砂がこぼれゆくように過ごした夏は遠景
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