水辺で暮す/
佐東
水の匂いのする
あなたの
指先の和音で
おどりだす
初夏の背表紙は
水溶性の文字たちの
ぽつぽつと吐き出す気泡で綴じられてゆく
垂直に
落ちてくる六月の
浸透してゆく
素直さで
水辺の暮しに
深く関わり続けて来たの
わたしの角質層は
ほろほろと剥離して
内側から覗く
銀鱗のささくれは
あなたの鎖骨の
窪みに広がる日だまりで
六月の波紋を揺らして
(ぱしゃん。)
鰓呼吸を知らない
わたしは
溺れてしまいそうに
なるけれど
戻る
編
削
Point
(14)