君が何をしようとも時は過ぎ去っていく/煙と工場
 
過去と未来と現在が
居酒屋の角で語らう

    未来さん
    ところで昨年はどうでした

    過去くん
    それは君がよく知っているだろう

    いやあ
    僕はもう潮時ですよ

    まだまだ君には
    頑張ってもらわないと

    そんなことはないですよ

    いやいや
    君がいてのわたしだもの

    あははは
    そういうものなんですかね

    そういうものなんだよ
    わははは

現在はそのやりとりを
目をつぶり
黙って聞いていた
気の抜けたビールを
口に含みながら

そして
そっと福沢諭吉を一枚
机におくと
居酒屋の外から
空の彼方へ
飛び立ったのだった
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