第六世界/本木はじめ
変色を免れていたあの日彼が歌集に閉じた水色の蝶
傷ついて体操座りで一千年蝶の呼吸と風化を見てた
美少年微笑している美少女の水晶体の奥でこはれる
もういちど橙いろの明るさについておまえと話したかった
嵐に耐える花もあるのさ少年よ、さよならだけが人生じゃない
溺死する泉のほとりに落下したスワンが最後に見ていたおまえ
錆び付いた金網越しのプールにはきみが沈めた僕がいるはず
枯れすすき分け入りあなたの後悔を拾い集めるわたしの後悔
ぼくたちのためらいがちな心中やイルカの歌が降って来る夜
水門に堰き止められる寒椿みずから作る不毛な明日
ぼくときみあなたとわたしおれおまえ第六世界で探すハピネス
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