殺しの記憶/atsuchan69
 
 その場所へは、けして女たちは近づけなかった
 淫らな忌避の場所をひらいて渡来のひとのごとく片足を立て、
 障子戸からこぼれた露わな月日に焼けて黒ばんだ太い柱に背を凭れ
 毛深き勇者は衆道の男どもへと芋の酒をふるまう

 つぶした鶏の生肝だの、刺身だの、
 ひえもんとりみたく奪い合っては口にして
 酒に火がつくと相手かまわず押し倒して殴る蹴るをはじめる
 そんな乱暴沙汰もやがて男同志の抱擁のまま収束し

 今で。しゃ、を斬りに行っど!
 酒に酔った勇者の一言で野郎どもが立ち上がると、
 とつぜん、あばらな農家へ押し入ってまだ若い夫婦の片割れを
 幾度も、幾度もの、荒い太刀
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