昨夜のはなし/xxxxxxxxx
重たい黒に塗り潰された部屋で、
僕と松子はアートオブジェのような、ひとつの塊になっていた。
ふるふる、と虫が哭く声は、この隔離された空間では他所事。
今、隣で耳の傍でふるえる【鈴の音だろうか?】音が、こちら事。
あああれはね、松子、君の思い過ごしだぁな。
僕はね、松子、裏切ったりぁ、せん。
「裏」ちゅうのはな、松子、本当の心のことだ。
それを「切る」ゆうわけだから松子、そういうことだ。
そんなこつ、ワレが松子にするわけなかろ?
松子は全く聴いていないのか聴こえていないのか聴くことがそもそもできないのか聴かない振りをしているのか聴こえているが
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