遠い空、あしもとの街、懐かしい歌、半睡の日/ホロウ・シカエルボク
「昨日」という
ダストシュートに
投げ込まれた
ままの時間
グラスの底で
震えながら
死を
待っている羽虫
声も出さないシンガーが
テレビで歌っている
「勇気」とか「未来」
そんな言葉ばかり
窓は汚れっぱなし
世界が世界として
ひとつずつ時を殺して行く
腐敗するそれに埋もれる
溶けた氷が崩れるように
朝からの雨に濡れ続けた街
空を泳いできた水の匂いがする
日は落ちて
タイヤが水溜りを撥ね飛ばす音がこだまする
ロックンロールミュージックとインスタ
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