アントニオ・ヴィヴァルディの夏/朝焼彩茜色
 
爪の先で立つ 淡々シャクシャクと 空気だけが音をたてる

そこまで 来ている 管楽器に含む息を切らしながら

シャンシャンを泡泡と連れて来る 蒸し跳ね返す 

そこまで 来ている シンバルが神経に触るあの密度の高い弦と弦の間合

汗垂れ弾く 蜃気楼をうつす 蒸し灼熱の瞳 

そこまで 来ている 季語を指揮する 月まで届くコンマス振り雷降らす

爪の先で立つ 甲高い奥行きの映える 淡々凛々しい瞳 世界中の空気を巻き込む

そこに来ている 

そこに来ている

夏の刺し
戻る   Point(7)