また明日/nonya
 
しまっている

「あいつどこ行ったんだろ」
「まだゲーセンにいるんじゃねえの」
「いい歳して好きだよなあ」
「ストレス溜まってんだよ、きっと」
「俺そろそろ帰るわ」
「俺も」「俺も」
「それじゃ」「また明日」

慌てて声をかけようとして
思わず言葉を飲み込んだ
空缶の細長い影が夕日の中に
一瞬だけ見えたような気がした

「仕方がないさ」
唇の端に薄笑いを灯して

人を喰ったことがないオニは
自分の影を折りたたむように
闇に向かって歩き出す

言えなかった「また明日」を
吐き捨てられたガムのように
かかとに張りつけたまま




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