ギャング/梅昆布茶
北の果てのとある国 閉ざされた凍えた大地 流氷漂う暗い海峡
灯台の灯りさえ今にも夜に飲み込まれそうなそんな港街
幾人かの荒んだ風体の若者達が流行りのリズムにあわせて
からだを揺らせながら焚火を囲んで暖をとっている
炎に浮かぶその相貌は 鬱屈した退屈した あるいは絶望に近く見えたのだ
時に議論し煙草をせわしげに吸っては また暗いリズムを追っている
戦争という磁場は この若者達にどういう理念を育てるというのだろう
たまに散らつく粉雪は 炎にあたって音もなく溶けてゆく
ざんばらな髪に降りた雪粒は 暫しの若き戦士の花飾り
なにに対する闘いなのか 戦略は戦術は そこに大
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