ランランラン/六九郎
 
自分の死期を悟ったのか
男達は
走り始める
夜のアスファルト

一歩
一歩
重い脂肪を背負って

軋む骨格筋
あえぐ肺胞
追いつかない心拍
青ざめる前頭葉

なぜ彼は走るのか
それで走っていると言えるのか
何に向かって走るのか
誰も待たないゴールと
見えない栄冠と
それでも彼はあきらめない

一歩
一歩
身体を前に押し出す
いつか待つ自分の死に向かって
身体を前に押し出す

坐して死を待つなかれ
坐して死を待つなかれ
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