境界線/owl
 
境界線の上

渡る 渡る

いつでも踏み外せる

片足は半分を

もう1つの片足は半分を

いつだって…。


境界線から踏み外せば楽だと知っている


逡巡しているわけでも無く

辟易しているわけでも無い

ただ瞬間と偶然と必然の狭間の奇跡が無いと
選択出来ないだけ。


右を向けば

電柱の配線に鴉達が肉を貪り
我が物だと蠅達が旋回して蛆を植え
夕焼けが終わりを演出して
悲鳴に似た笑いが
私の口角を嫌でも歪ませている光景


左を向けば

幾つかの感情を失い
幾つかの優しさを失い熱を失い
言葉を失い
窶れた身体とさ迷う虚ろな眼
雨に射たれ唯一得た涙を流している光景


真っ直ぐに伸びる境界線

どちらに転んだって破滅しか来ないなら

取り除けば良い

理性と本能の狭間をあるくなら

取り除けば良い

それは不器用でも簡単に出来る

夢のような方法…それは…


境界線を歩いている

それは何処までも続く白線で

一歩横へ踏み込めば

運命に撥ね飛ばされる。
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