わるい子の小道/凍湖(とおこ)
 
先生が、いい子いい子言って
わたしのあたまをなでる。
土のにおいのする、ざらついた手のひらが
高いところから降りてきて
ちから強く、あたまをなでる。

いい子いい子、土人形よろしく捏ねられて
理想のよい子ができあがり
教室の席にずらっと掛けてる。
よい子は
唯一絶対「せいとう」の道を行進していく。
誰が作った道か、知らないで。

先生が、わるい子わるい子言って
廊下に立たせたこどもたち
みんな駆けていった。
時間割りのない、草原へ。
わるい子は
ペンペン草ふりまわし、迷いつつ
彼らのたのしい小道を見つけていった。
たぶんきっと、迷った「よい子」と落ち合って
いっしょに歩いていける、たのしい小道を。
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