このまま埋まりたい/最都 優
このまま埋まりたい
地中の奥の奥の奥まで
落ちて落ちて落ちて
そのまま羽根が生えるのをまって
それからゆっくりゆっくり地上にでて
時間が立ってしまったみたことのない世界を
高く
高く
飛んでいきたい
そこはきっとシェルターで覆われてて
その先はきっと
放射能が蔓延してるから出てはいけないと
昔みた漫画のある部分の
機械が歩き
人の乗る車が空を縫い
信号機でさえ
逆さ釣りにぶら下がっている
じゃあ僕は?
羽根が生えた僕の姿はどんなだろう?
きっとその漫画の生まれ変わりを続けている
輝きで出来た鳥だろう
空を飛び
人が怯えた世界でさえ
むしろだからこそ
きっと本当は安全に暮らせる
何かがあるよと
伝えたりするんだろう
そんな事を夢に見ながら枕元
このまま埋まってしまいたい
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