バンジージャンプを1階から/木屋 亞万
 


地球の重力には引きつけられないとしても
この人のところへ帰ってくればいいのだと思った
魅了されるたびに私はあの人に吸い寄せられ
何度もなんども惹きつけられた
笑っても泣いても走っても歌っても食べても眠っても
抱き合うたびに飛翔しそのまま夜空で一晩過ごした

たった一つの愛が
私に大地を歩かせた
水になることも宇宙へいくこともやめて
ただの地を這う生き物となった
硬い石の靴を履き
重みのあるものを食べた


四度目
あの人が死んだとき
私は果てしなく飛んだ
体をなくしたあの人と
深く強く結ばれたまま
宇宙をひたすらまっすぐに
打ち抜いていく彗星になって

私はまだ死なない
あの人は死んだ
まだ天国には行きたくない
行かせたくない
光より早く宙を駆け抜けて
戻れないだろうか
何かの間違いでもう一度
私に引力が与えられないだろうか
氷になって泣きながら
私は何度もジャンプする

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