空壺/かわぐちひろ
 
表現というものの一端に
はじめて気がついたとき
唐突に悟った


あぁ
自分の中は空っぽだ


……良かった


自分という容れ物が
ちゃんとあることに気がついたのだ
借り物ではない
たったひとつの容れ物が

これから何でも詰めこんでいける
少しずつ少しずつ
大切に大切に

この喜びこそが
おそらくは表現の源
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