獺祭/石川湯里
わけがわからなくなったら
焦らないこと
騒がないこと
何度でもやり直せること
俺は車を走らせ栗東でおりた
毎度のことだが一号線が渋滞していたのでわき道へ出ると
無数の飛び出しぼうれいが徘徊していたので
顔面蒼白になりながら湖岸を目指した
追っ手を振り切り烏丸半島あたり
水面に浮かぶ蓮に接吻すると
奴隷になった気がした
世の中のうなぎ共は
ぶら下げた一本刀を抜くこともなく一生を終える
いや、抜くことがないと言ったらウソになる
毎日のように抜いてる人も多い
でもちょっと持て余している気がする
伝家の宝刀さんよ
抜けるもんなら抜いて見やがれくそったれが
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