病床で/イナエ
 

驚愕するぼく

 ーこんなときに…
 ーリーダーの手じゃないのか…

けものの嘴が尿道に入り込み
快感なのか恐怖なのか
下腹部から発したさざ波が
冷たく背に広がる

ぼくは声にならない悲鳴を上げて目を開く

ランタンの淡い灯りに照らされた天井
藤棚のように枝が絡み合い
垂れ下がった蜘蛛の糸に絡まった埃の
花房がベッドに向かって降りてくる
ベッドは花房から逃げるように
ゆっくりと回転し暗い宙に落ちていく
リーダーの手のひらが足をつかんで
地球から落ちていくのを引き留める

遠く読経が聞こえる
 ー誰かが亡くなったのだろうか
  それはぼくぼくだろうか
  そんなはずはない
  ぼくはまだ足を?まれ
  何本もの管に繋がれたままだー

眼の無い目と読経に送られ 
再び暗い世界に沈み込んでいく 


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