散策迷路/ただのみきや
　
　し　ご　と　を　し　の　ぎ

　　こ　こ　ろ　こ　か　げ　に

　み　え　ぬ　わ　き　み　ち　

　　と　き　が　と　け　だ　し
　

　
美しく病んだ六月の背中で
僕らは夢から迷い出た獣だった
降りしきる光に相殺され
生きることの輪郭を失ったのだ
風と蝶のスウィング
心臓よ――声を震わせる時計よ
作用する紋様よ
そして反作用するもの――世界
止めてみるがいい
一瞬一秒奪ってみろ


　こ　も　れ　び　こ　ぼ　れ
　　
　　ほ　ほ　え　み　ゆ　れ　て
　
　し　じ　ま　に　に　じ　む
　　
　　と　お　い　き　ず　お　と　　
　　　　　

美しく病んだ花飾りの小道で
僕らはイメージに溺れて模書く蝉だ
青硝子の天蓋のもと終止符を喘ぎながら
磔刑にする／される　柔らかな言葉たち　
暗花に静止する風よ
ただ感じるだけ――そして　見送るだけ
サヨウ　ナラ　シヨウ
発火する面影に呂律は回らない
君は目を置いて行ったのか
いつかまたこの道で迷うために


　　　

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