夜に 夜に/木立 悟
 
い記号をのぞきこむ笑み


遠去かる点 遠去かる音
乳や夕べや 影の呼び声
誰もが顔だと言わぬ横顔
水を見つめつづけている


壁に床に階段に
鉱の光は起き上がる
曇のなかの 無数の新月
記憶のように浮き沈む


胸の柱をめぐるもの
金に緑に語るもの
片目の痛みの灯をつむり
もう片方を燃やすもの


文字を追えば 影は増える
網目のかたちに焼けた土
裏道をゆく背
光の背


むらさきの扉 むこう側の声
いつまでも踊り場から動かない
屋根へ屋根へ降りそそぐ粉
街の外に散ってゆく


砂の痛み 見つめる浜
指を鳥をくりかえし
記す間もなく消える傷
夜に夜にと響きながら
夜に夜にとまたたきながら

























戻る   Point(5)